MMM Finals 2017 T、優勝者インタビュー
2016年10月15日 日曜日 アノアデザインで開催した、マンスリーモダンファイナル2017トライアル(通称MMM Finalsトライアル くわしくは、こちら)
関西のモダンの祭典での不戦勝をかけた戦い、それを勝ち抜いた、ナカタニ ユウキさんにインタビューを行ないました。
なぜ珍しくこんなことをしたかと言いますと、彼が使っていたデッキは、『緑白人間同盟者』というあまり聞き慣れないデッキだったからです。
しかも、この大会と同日の21-22日に開催された、SCGオープン(アメリカのめっちゃでっかい大会のモダン部門)でも、『5色人間』という聞き慣れないデッキが優勝をおさめていました。
※SCGのデッキリストは、こちら
ナカタニさんのデッキも『人間』デッキと、これは偶然なのか?はたまた、モダンの新しい風となるのか?
そのデッキについて、詳しく伺いました。
4 《魂の洞窟》 4 《寺院の庭》 4 《吹きさらしの荒野》 2 《低木林地》 1 《ガヴォニーの居住区》 1 《森》 3 《平地》 -土地(19)- 4 《貴族の教主》 -クリーチャー(33)- |
4 《硬化した鱗》 4 《流刑への道》 -呪文(8)- |
2 《クァーサルの群れ魔道士》 2 《不屈の追跡者》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《安らかなる眠り》 2 《意志のような静寂》 2 《形成師の聖域》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《漁る軟泥》 1 《ドロモカの命令》 -サイドボード(15)- |
――優勝おめでとうございます。さっそくですが、デッキについてお伺いさせてもらってよろしいでしょうか?
ナカタニ「ありがとうございます。どうぞ、なんでも聞いて下さい」
なぜ『緑白人間同盟者』デッキなのか?ナカタニさんの《硬化した鱗/Hardened Scales(KTK)》への想い。
――『緑白人間同盟者』デッキ。なかなか聞かないデッキタイプですが、率直になぜこのデッキをチョイスしたのでしょうか?
ナカタニ「そうですね。デッキを使っている理由は、もちろん、この《硬化した鱗/Hardened Scales(KTK)》を使いたいがためですね」
ナカタニ「(戦場に)出たときに+1/+1/カウンターが乗るクリーチャーを探して、行き着いたのが、この人間だったり、同盟者だったりしたので、この部族で(デッキを)組みました」
――なるほど。素晴らしいチョイスです。しかし、なぜ《硬化した鱗/Hardened Scales(KTK)》なんですか?
ナカタニ「このカードが大好きなんですよ。スタンダードでも、このカードをずっと使っていたのですが、スタンダードで使えなくなったので、次はモダンで使おうと思ってました」
――思い入れの強いカードだったんですね。モダンで《硬化した鱗/Hardened Scales(KTK)》はどうでしたか?
ナカタニ「噛みあわんかったら弱いみたいなデッキなんで。勝つときは良く勝つんですけど、負けるときはほんま良く負けますね。10か0かって感じですね。」
モダンのデッキはこれが始めてのデッキですか?
ナカタニ「はい、これが初めて作ったデッキですね。けっこう長い間使ってますね、かれこれモダンはずっとこれでいってますね」
ちなみに、デッキを作る際に参考にしたデッキはありましたか?
ナカタニ「参考にしたデッキはありますね。あのー晴れる屋?やったかな?それのモダンの同盟者デッキがベースになっていますね」
※それについては、こちら
――それも、2色のデッキだったんですか?
ナカタニ「2色ですね。緑白のデッキでした」
現在のメインの採用カードの理由は?《カビーラの福音者》とは??
――《硬化した鱗/Hardened Scales(KTK)》はタルキールのカードですから、スタンダード落ちしたのは、2016年の春発売の『イニストラード覆う影』のときですよね、かなり長い間このデッキを使われていると思います。
その中で、何か大きく変更した点はありますか?
ナカタニ「そうですね。一番の変わったところでいうと、そう、これですね《カビーラの福音者》」
――《カビーラの福音者》?なかなか聞きなれないカードですね。誘発型能力で好きな色のプロテクションを与えられるとは言え、このデッキ構成では攻撃時にしか使えないですよね?
ナカタニ「そうですね。りんりん(《未練ある魂》)とかであのへんで何か守りに入られて、押し切れず負けちゃうみたいなことがあったんで。メインから採用して、その他にも効きそうなカードってことでこいつを採用しました」
――なるほど。確かにアグロデッキ(どんどんクリーチャーで相手を攻撃するデッキ)では、《未練ある魂》厳しい壁になりますね。このカードはどこで知ったのですか?
ナカタニ「アノアでモダンをしていたときに、対戦相手の人がこのカード強いんじゃない?と1枚頂いたんです。使ってみたら感触がよくて、これはもう1枚いるなと買い足しました」
この人が、彼に《カビーラの福音者》をあげたプレイヤーです。
――すばらしいご友人をお持ちですね。あと、リストを見たのですが、《霊気の薬瓶》や《集合した中隊》は考えなかったのですか?
ナカタニ「《スレイベンの守護者、サリア》を3枚採用したかったので、《硬化した鱗/Hardened Scales(KTK)》が4枚、《流刑への道》が4枚とこれ以上呪文を増やすのは良くないと思ったからですね。また、《集合した中隊》は確かに強いのですが、このデッキは、1マナ2マナの軽いクリーチャーが多いので、このカードでの恩恵を受けにくいのです」
――おっしゃる通りだと思います。《スレイベンの守護者、サリア》を3枚にこだわる理由はなんですか?
ナカタニ「やっぱり、このカードに頼るところが大きいからですね。ストームやトロン、除去コンなど、呪文を多様するデッキでは、このカードが無いとすぐに負けてしまいます」
――確かに、対抗策としては、このデッキでは彼女が最適ですね。ちなみに、メインに2枚取られた《異端聖戦士、サリア/Thalia, Heretic Cathar》はどうですか?
ナカタニ「新しいサリアは、ビートダウン(クリーチャーで戦うデッキ)相手やったらスタンダードでもそうやったんですけど、新しく出てくるクリーチャーを寝かしてくれるのが強いですね。それ以外にも、コントロール相手、トロンとかそういう基本じゃない土地をタップでだしてくれるので、相手のテンポロスに繋がってそのまま勝てることがありますね」
土地バランスについて?
――土地バランスについては何かこだわりはありますか?
ナカタニ「これは、ですね……。クリーチャーについては、《魂の洞窟》から色マナがでるので、特に困る事はないんですけど、それ以外の呪文の色マナが出ないことがあるので、ショックランド4枚とペインランド2枚を採用しています。」
――呪文といっても、メインには、《硬化した鱗》と《流刑への道》だけですよね?
ナカタニ「そうなんですが、土地のバランスはサイドボードのためですね。どうしてもクリーチャーだけだと、対策されやすいので、他の呪文と散らすことにしています。」
ナカタニ「あと、《ガヴォニーの居住区》は、同じはやさの相手とあたったときに、(クリーチャーの)並べあいになったときに、強いかなと思っていれてます」
――基本土地についてはどうですか?
ナカタニ「基本土地は、白ダブルシンボルを2ターン目に要求されることが多いので、平地を多めにとって、森は1枚だけって感じです」
――イクサランから、新たに入った部族土地《手付かずの領土》はどうですか?
ナカタニ「基本二色のデッキなのであまり考えなかったですね。クリーチャー以外の呪文がプレイできない危険性もあったので」
このデッキでのキルターンは?有利な相手は?
――かなり前のめりな構成ですが、どれぐらいのターンで決着がつきますか?
ナカタニ「そうですねぇ、タイプにもよりますが……基本4ターンまでが勝負ですね」
――4ターンは、かなり早いですね。
ナカタニ「それぐらいまでには、ある程度勝てる状態にしてしまう感じですね。これが逆にできへんかったら負けですね」
――前へ前へですね。
ナカタニ「ですね。サイズをでかくする都合上、(第一)メインでクリーチャーを出していくので、ほんまに前のめりなデッキですね」
――ちなみに、どんなデッキに有利ですか?
ナカタニ「トロンには強いですね。あと、同じ速度でライフレース(ダメージを与え合うこと)をするデッキにも強いですね。こっちには絆魂があるので」
苦手なデッキは?
――お聞きする限り、かなりとがった感じのデッキだなという印象なんですが、弱点のようなものはありますか?
ナカタニ「リビングエンドに弱いですね。
もう、リビングエンドには非常に弱いですね」
――そんな、語気が強くなるほどですか!?
ナカタニ「リビングエンドはもうRIPゲー(サイドボードの《安らかなる眠り》)ですね」
ナカタニ「リビングエンドに負けすぎた結果、サイドに《安らかなる眠り》と《漁る軟泥》がはいっているんです。サイドボードの中で一番多く4枚とっています」
サイドボードについて?イクサランからの新カード《形成師の聖域》の強さは?
――先ほどのも少しお話がありましたが、サイドボードについて、お聞かせ下さい。1枚ずみのカードである《ガドック・ティーグ》や《石のような静寂》、《ドロモカの命令》についてお聞かせ下さい。
ナカタニ「《ガドック・ティーグ》と《石のような静寂》は、入れる相手が決まっているカードですね。例えば、《石のような静寂》は親和デッキ相手に入れるカードで、親和が今日居るかどうか分からなかったので1枚ですね。《ガドック・ティーグ》は、トロン、カンパニー(《集合した中隊/Collected Company(DTK)》)対策ですね。トロンは3ターン目にそろうとさすがにやばいのと、カンパニーも結構キツいので。デッキなど明確に入れる相手が決まっているので、使うかどうか分からないので1枚ずつですね。」
――《ドロモカの命令》はどうですか?
ナカタニ「とりあえず、1枚入れとけってのもありますが、1番上のモードが何気に強いですね。全体除去の火力をこれで防いだりしますね」
――イクサランからの新カード《形成師の聖域》についてお聞かせ下さい。
ナカタニ「クリーチャーのサイズを大きくしながら戦うデッキなので、1体1体を丁寧に除去されるとどうしても厳しい戦いになることが多かったので、そういった相手のときにこのカードは強いですね」
――どのようにサイドインするんですか?
ナカタニ「そういう場合は、2枚《硬化した鱗/Hardened Scales(KTK)》を抜いて、変わりに《形成師の聖域》を2枚入れます」
――同じマナ域ですし、デッキのバランスも崩れなさそうですね。そうなると、なかなか初手に《硬化した鱗/Hardened Scales(KTK)》が来なくないですか?
ナカタニ「確立は減りますが、3ターン目までに《硬化した鱗/Hardened Scales(KTK)》出せればそれなりにやれますね」
――ということは、サイド後はちょっと長期プランになる感じですか?
ナカタニ「そうですね。これを入れる相手には、《不屈の追跡者/Tireless Tracker》や《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》を入れて長期戦でも戦えるプランに変えます」
――なるほど、相手によって速度をスイッチできるサイドボードなんですね。触れられていない《クァーサルの群れ魔道師》についてはどうですか?
ナカタニ「こいつは、邪魔な置物、例えば《罠の橋》など、殴りにいけなくなるような置物を割るためにいれてます。最悪、《魂の洞窟》で猫を指定すると打ち消されませんし、賛美で打点もあがりますし使いやすいですね」
最後にどういった人にこのデッキはおすすめ?
――最後に、どういった人にこのデッキはおすすめですか?
ナカタニ「はやく、でかいクリーチャーで殴りたい人におすすめですね!」
――なるほど!確かに!
ナカタニ「あと、《貴族の教主》と《魂の洞窟》を除けば安いデッキなので、モダンのデッキをこれから作る人にもおすすめですね」
――言われてみれば、確かにあまり高いカードは無いですね。
ナカタニ「そーなんですよ。《貴族の教主》を《アヴァシンの巡礼者》に。《魂の洞窟》を《手付かずの領土》にすればすごく安く組めます」
最後にそう、和やかに教えてくれたナカタニさん。彼いわく、高いカードでそろえる順は『《魂の洞窟》>>>《貴族の教主》』だそうです。
同じ日に、人間デッキが、モダン環境で優勝。規模は違うといえ、これは偶然なのでしょうか?
もしかすると、モダンに人間の新たな嵐が巻き起こるかもしれません。
この記事の投稿者は u-1 です
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